あまり知られていないレーザーディスクの短い歴史

皆さんは、一時期ディスク業界を席巻した「LDプレーヤー/レーザーディスク」って、ご存知でしょうか?

昔ながらのおもむきのある古い旅館の宴会場や、観光バスでカラオケを楽しむためにカラオケセットがあるバスなどで、よく利用されているレコードと同じ大きさの30cmの光る円盤状のディスクが、80年代の初めごろから90年代の前半までの間、ディスク業界を席巻した「レーザーディスク」になります。

今でこそ、映像業界や音楽業界などは、DVDディスクやBlu-rayディスクなどが主流になっていますが、一昔前まではVHSビデオテープから、レーザーディスクが流行った時代がありました。

CDがそのままレコード盤の大きさになった異様な風ぼうのレーザーディスクですが、筆者は発売された当時小学3年生だったのですが、当時の電気屋へ物珍しさから見物ついでに親父に連れられて初めて見たレーザーディスクの映像の綺麗さには、衝撃を受けたことを今でも思い出します。

現代の30代前半の人からはあまり知られていないけど、30代後半以上の世代にとっては懐かしのレーザーディスクの歴史について調査してみました。

レーザーディスクの誕生

レーザーディスクの発祥は、電気カミソリなどで有名なオランダのフィリップス社が1972年に光学式ビデオディスク規格としてVLP方式を発表したことが始まりです。のちにアメリカからもMCA方式を発表し、1974年に規格が統一され、アメリカで初めて製品化されたのが、1978年でした。

のちに1981年にパイオニアから初めて国内発売が開始され、「絵の出るレコード」といわれるキャッチコピーとして普及した映像記録用の光ディスクの規格になります。
今、レンタル映像業界でほぼ99%のシェアを誇るDVDとBlu-rayディスクの先輩にあたります。

日本では70年代に入って家庭用ビデオプレーヤーが普及したことで、それまで映画館でしか見れなかった映画が、家庭でも気軽にテレビで見れるようになりました。

そして、80年代を迎える前にアメリカで販売されていたLDプレーヤーが日本のパイオニアによって製品化され、81年に初めてのLDプレーヤーが発売されました。

発売当初は、ビデオテープよりも場所を取らないって言っても、大きさが直径30cmもあり、しかも結構な重量がありました。レコードと同じ大きさで重量は5倍ぐらいあったので、普段家で使っていたビデオテープの方が便利だと僕は個人的に感じていました。

ただ、確かに映像や音が綺麗なことと、ビデオテープみたいに再生のし過ぎでテープが劣化しないので、綺麗な映像がいつでも見れることは素晴らしい思い出です。

当時、持っていたレーザーディスクのお気に入り映画は「ターミネーター」でした。
アーノルドシュワルツェネッガーが、未来から送り込まれたロボット人間として悪役を演じる大ヒットした映画です。子供ながらに、綺麗な映像と映画館と同じような音質の良さに素晴らしく感動していたのを覚えています。

レーザーディスクの普及

初期のレーザーディスクはビデオテープと違って安価で販売されていました。
当時販売されていたビデオテープは、15,000円~20,000円ぐらいで販売されていましたが、1枚7,000円-1万円の間と今と比べたらそこまで安くはないと思いますが、当時はかなり安い感覚でした。

だから、レジャー産業への浸透率が非常に高かったようです。
冒頭で紹介したように今でも古いレーザーシステムのカラオケが残っている宴会場などもまだまだありますよね。

筆者が若い頃に良く通ったのは、今はなくなってしまったカラオケボックスです。
当時のカラオケボックスは、砂利道の駐車場にコンテナを並べたようなものや、外国映画で良く出てくるモーテルみたいなアパートを改装したような1つ1つの部屋に別れている建物で、曲を予約すると受付のところに本部機能(オートチェンジャーシステム)があり、カラオケボックスの個室に映像を配信するシステムでした。

だから、選曲から曲が流れてくるまでが2~3分くらいかかることもあり、結構な待ち時間があったのを覚えています。

そして、宴会場などのカラオケシステムは自分の選曲した曲のレーザーディスクを自分でセットして、再生するまでの時間がちょっと時間がかかったこともあり、テレビの前で曲が流れてくる間のなにやら恥ずかしい気持ちは今でも笑えますね。

こうしてレーザーディスクはレジャー産業にかなり浸透していきましたが、もともと家庭用 のレーザーディスクは「販売専用」という製造元からの戦略があったため、レンタルビデオ業界には、終焉直前の一時期を除いては、ほぼ復旧していませんでした。

ここに大ヒットに繋がらなかった大きな差がありそうですね。

レーザーディスクの衰退~終焉まで

80年代から90年代前半にかけてレジャー産業を中心に大きく普及されたレーザーディスクでしたが、需要と供給のバランスが全く追いつかない状態で、発売と同時に販売元品切れとなるソフトが続出しました。

レーザーディスクの供給が全く追いつかない状態だった一方、ビデオテープソフトの低価格化と安定供給が進み、せっかく需要があったレーザーディスク産業でしたがユーザー離れが進んでいきました。

やがて、1996年には CD と同じ12 CM サイズの DVD ビデオが登場して、扱いやすさ、価格、大きさ、画質の全てを比較しても、劣ってしまうレーザーディスクは急激に衰退していきました。

さらに カラオケ業界でもバブル崩壊に伴う景気悪化で、スナックやパブでのレーザーディスクの需要が激減しました。また、新曲の配信が早い通信カラオケ が出てきたことで、劇的に LD カラオケの需要はなくなってしまいました。

こうして、2000年代に入る頃にはほぼ終焉を迎えたレーザーディスクですが、通信カラオケ導入に消極的な居酒屋や、カラオケスナックなど、昔の歌謡曲を好む客層を持ったお店では2000年に入っても続いていました。

結局、2007年3月市場衰退により世界唯一の LD ディスクプレスメーカーとなったメモリーテックが製造ラインを廃止し、これによりレーザーディスクの歴史は幕を降ろしました。

ということで筆者の青春時代は、 VHS ビデオからレーザーディスク、そして DVD ヘと進化を遂げていきましたが 、そのたびに新しいプレーヤーの購入をしてきたわけです。

コレクターであれば新しいプレイヤーを買うたびにそのプレイヤーにあったソフトを購入しているので同じ映画タイトルを購入することもあるので、ちょっとバカバカしくなるそんなことありませんか?(笑

一般的には10年ほどしか世間一般に広まっていないレーザーディスクですが、元々製造販売されるソフトの量がかなり少ないため、プレミアムな値段が付いている中古品も多いようです。

例えば、昔のアイドルの楽曲のソフトや、人気が高くコレクターが多い映画など。

もし、レーザーディスクがあるけど、プレーヤーが無くて不必要な産物になってしまっているのであれば、中古品買取も検討してみてはいかがでしょうか?